2014年11月5日水曜日

労働者派遣法改正案がなぜ労働者にとって「改悪」といわれるのか

 労働者派遣法改正案が11月5日に審議入りします。労働者側が、何故、この「改正案」を「改悪」だと言っているのか派遣職員のみなさんの立場に立って簡単にまとめてみます。

(専門28業種)
○ソフトウェア開発
○機械設計
○事務用機器操作
○通訳、翻訳、速記
○秘書
○ファイリング
○調査
○財務処理
○取引文書作成
○デモンストレーション
○添乗
○受付・案内
○研究開発
○事業の実施体制の
  企画、立案
○書籍等の制作・編集
○広告デザイン
○OAインストラクション
○セールスエンジニアの
  営業、金融商品の営業
○放送機器等操作
○放送番組等演出
○建築物清掃
○建築設備運転、点検、整備
○駐車場管理等
○インテリアコーディネーター
○アナウンサー
○テレマーケティング
○放送番組等の大道具・小道具
○水道施設等の設備運転等
  
 これまでの法律では専門28業種については、派遣期間の制限がなく、同一の人が無期限で派遣職員として働くことができるとされていました。しかし、改正案では、専門業種の規定がなくなります。つまり、すべての業種が最長3年までの派遣となります。ただし、人を変えれば、同じ業種で3年以上の派遣が可能となります。
 つまり、今、専門28業種で派遣されている人たちは、3年後には正規職員になるしか同じ職場で働き続けることはできません。経営者側はこれをもって「派遣職員が正規職員に登用される機会がふえる。」と言います。しかし、会社が正規職員として求めているのは、非限定的総合職員ですから、職種限定ともいえる派遣職員は、3年後にはいつでも入れ替えができる存在となり、雇用がこれまで以上に不安定になります。
 専門28業種以外の業種で派遣されている人たちは、これまで、派遣期間が最長3年で、派遣先は、それ以降同じ業種での派遣職員を受け入れることができませんでした。ですから、会社は同じ業務を続けるためには、派遣職員を直接雇用をしなければなりませんでした。 ところが、改正案では、3年たっても、人を変えれば同じ業種での派遣職員を受け入れることが可能となるため、派遣職員は自動的に雇止めとなります。
 もちろん、これは法律上の問題であり、これまでも、会社は、違法、脱法行為を繰り返してきましたから、実態としては、「改正案」のような働き方が蔓延していると言えるでしょう。しかし、今後は、それを「法律」で規制するということができなくなります。 
 改正案が成立したら、最初から正規職員を雇用せず、3年間だけ今の正規職員のような非限定的職員として派遣職員を受け入れ 、3年たって、会社にとって都合の良い管理職のみを正規職員に登用し、あとは雇止めなどということが可能となります。正規職員が増えるのではなく正規職員がゼロになる法案と言われるのはそのためです。
 

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